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【第2回】マイコプラズマ・ウレアプラズマの病原性と症状について
病気について2026年7月7日
マイコプラズマ・ウレアプラズマの病原性と症状について医師が解説

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染では、男性では尿道炎に似た症状、女性では帯下の変化や下腹部痛などがみられることがあります。一方で、菌種によって病原性や無症候性保菌の多さは異なります。
*監修:予防会 名古屋クリニック院長
第1回では、マイコプラズマ・ウレアプラズマの基本情報、診断法、検出頻度について解説しています。
3.マイコプラズマ・ウレアプラズマの病原性と症状は?
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染では一般に以下のような症状が出現します。
1)男性にみられる主な症状
- 排尿時の違和感や痛み
- 尿道からの透明~白色の分泌物
- 亀頭部の不快感
- 症状が軽いものの何となく違和感が続く
淋菌やクラミジア感染による尿道炎と似た症状のことがあるため、症状だけで原因を見分けることは困難です。
2)女性にみられる主な症状
- 帯下の増加や性状の変化(白色~黄色、時に膿性)
- 帯下のにおいの変化
- 性交時痛
- 不正出血、性交後出血
- 下腹部痛
- 排尿時の違和感、頻尿
- 外陰部や腟の違和感
女性では症状がはっきりしない場合や、無症状のことも多いです。

3)菌種ごとの特徴
① マイコプラズマ・ジェニタリウム
男性では尿道炎、亀頭包皮炎、精巣上体炎、女性では子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、不妊症の原因になります1)。感染した男性の約70%が何らかの症状を呈するのに対し、女性の方が無症候性感染が多いとされています1)。
男性の尿道炎のうち、60~70%が非淋菌性尿道炎で、そのうち15~20%はジェニタリウムが原因とされています1)。淋菌、クラミジアとの混合感染が多いことも報告されています1)。
女性の場合、症状のある子宮頸管炎の10~30%はジェニタリウムが原因とされています2)。また、骨盤内炎症性疾患の4~22%の原因とされています2)。
淋菌やクラミジア感染症と同様に上行性感染により卵管に炎症が波及すると卵管閉塞を起こし不妊症の原因となる可能性が指摘されています。
流産や早産、前期破水などに関してはエビデンスが一貫せず、ウレアプラズマほど関連はないとされています。
肛門性交を行う男女では直腸炎(排膿、下痢、血便など)を起こすことがあります。
先に述べたように咽頭からの検出は少ないとされていますが(1%前後)、十分なデータがないため今後の調査研究が必要です2)。

② マイコプラズマ・ホミニス
ホミニスは、泌尿生殖器にコロニーを形成し効率に常在しています。
特に女性で無症候性保菌が多いとされています(20~50%)。
男性の非淋菌性尿道炎との関連は明らかではないようです8)。
ホミニスは、単独で検出されることは少なく、ガードネレラやウレアプラズマなどの細菌性腟症に関連する菌とともに検出されることが多いとされています9)。
腟内細菌叢が正常細菌叢の場合はホミニスの検出率は8.9%であるのに対し、細菌性腟症になるとその検出率は26.8%と約3倍に増加したとの報告もあります6)。
妊婦では早産、前期破水、術後感染症や骨盤内膿瘍などの周産期合併症との関連も報告されています。これらの発症にも細菌性腟症の関与があるようです10)。
さらに新生児の感染症(肺炎、髄膜炎など)の病原菌とされるケースもあります11)。

③ ウレアプラズマ・ウレアリチカム
ウレアプラズマ属は、ウレアーゼという酵素によって尿素(ウレア)を分解してアンモニアを産生します。このアンモニアにより局所環境がアルカリ性に傾く可能性があり、腟内pHの上昇や細菌性腟症に関連している可能性があります。
ウレアリチカムは、男性の非淋菌性尿道炎の3~11%を占めるとされています13)。
無症状例では検出菌量が少なく、菌量が多い症例ほど尿道炎症状との関連がみられることから、高菌量が病原性発現に関与している可能性があります14,15)。
ウレアプラズマ属は、精子数や運動性の低下との関連が報告されています16)。特にウレアリチカムでは、男性不妊との関連を支持する報告が比較的多くあります17)。
ウレアリチカムは、早産や前期破水との関連が報告されているほか、新生児肺炎などの周産期感染症との関連も指摘されています。
早産症例の羊水からウレアリチカムが検出されることもあり(数%~10%)、羊水中の菌量が多い場合には、新生児合併症のリスクが高くなるとの報告もあります18)。
そのため、妊娠中あるいは妊娠前にウレアリチカムが検出された場合には、病原菌としての潜在的な側面を考慮し、治療を検討すべきとする専門家の意見もあります。

④ ウレアプラズマ・パルバム
女性ではパルバムもホミニス以上に無症候性保菌が多いとされています(20~60%)。
パルバムは非淋菌性尿道炎との関連はあまりないとされます14, 17)。
また、不妊との関連性はウレアリチカムよりは少ないとされていますが17)、一方ではウレアリチカムと同様に運動精子数を低下させ男性不妊に関連するとの報告もあります16)
また、早産を含む周産期合併症については、ウレアリチカムよりもパルバムとの関連が強い可能性を示した報告もあります19)。今後の研究結果によっては、パルバムの病原性の見直しが必要かも知れません。

それぞれの特徴のまとめ
*それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
| 菌種 | 無症候保菌 | 病原性 | 関連のある疾患 | 関連が疑われる疾患 |
|---|---|---|---|---|
| マイコプラズマ・ジェニタリウム | 比較的少ない | 強い | 尿道炎、亀頭包皮炎、精巣上体炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、直腸炎 | 女性不妊、男性不妊 |
| マイコプラズマ・ホミニス | 多い(特に女性) | 弱い | 男性不妊、細菌性腟症、慢性子宮内膜炎、早産、前期破水、産後感染症、骨盤内膿瘍、新生児感染症 | |
| ウレアプラズマ・ウレアリチカム | 多い | 中等度~弱い | 尿道炎(菌量が多い場合、限定的) | 男性不妊、慢性前立腺炎、子宮頸管炎、細菌性腟症、慢性子宮内膜炎、早産、新生児感染症 |
| ウレアプラズマ・パルバム | 非常に多い(特に女性) | 弱い〜不明 | 男性不妊、細菌性腟症、早産、新生児感染症 |
(個人的な見解であり、現時点で確立された根拠に基づくものではありません)
マイコプラズマ・ウレアプラズマとこれらの疾患との関連には研究結果が一貫していないことや、不明な点が多々あるため、今大規模な調査研究が必要とされています。
まとめ
・マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染では、男性では排尿時の違和感や痛み、尿道分泌物などが出現することがあります。
・女性では帯下の増加やにおいの変化、性交時痛、不正出血、下腹部痛、排尿時の違和感などがみられることがあります。
・マイコプラズマ・ジェニタリウムは、尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患などとの関連が示されています。
・マイコプラズマ・ホミニスやウレアプラズマは無症候性保菌が多く、疾患との関連については研究結果が一貫していない点もあります。
・菌種によって無症候保菌の頻度、病原性、関連が疑われる疾患が異なります。
次回のコラムについて
次回は、マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療の必要性について解説します。
1) 性感染症 診断・治療ガイドライン 2026. 日本性感染症学会編. P109-123.
2) CDC. Sexually Transmitted Infection Treatment Guidelines 2021. Mycoplasma genitalium.
6) Deguchi T, Yasuda M, Yokoi S, et al. Failure to detect Mycoplasma genitalium in the pharynges of female sex workers in Japan. J Infect Chemother. 2009; 15: 410-413.
8) Cox C, McKenna JP, Watt AP, et al. Ureaplasma parvum and Mycoplasma genitalium are found to be significantly associated with microscopy-confirmed urethritis in a routine genitourinary medicine setting. Int J STD AIDS. 2016; 27: 861-867.
9) Plummer EL, Vodstrcil LA, Bodiyabadu K, et al. Are Mycoplasma hominis, Ureaplasma urealyticum and Ureaplasma parvum Associated with Specific Genital Symptoms and Clinical Signs in Nonpregnant Women? Clin Infect Dis. 2021; 73: 659-668.
10)Jonduo ME, Vallely LM, Wand H, et al. Adverse pregnancy and birth outcomes associated with Mycoplasma hominis, Ureaplasma urealyticum and Ureaplasma parvum: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2022; 12: e062990.
11) 内倉 友香、杉山 隆:母児を感染から守る-妊産婦の感染症アップデート-注意すべき母体の感染症. Mycoplasma hominis 感染症. 産科と婦人科. 2024; 91巻, 1109-1112.
13) Horner P, Donders G, Cusini M, et al. Should we be testing for urogenital Mycoplasma hominis, Ureaplasma parvum and Ureaplasma urealyticum in men and women? – a position statement from the European STI Guidelines Editorial Board. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018; 32: 1845-1851.
14) Zhang N, Wang R, Li X, Liu X, et al. Are Ureaplasma spp. a cause of nongonococcal urethritis? A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2014; 9: e113771.
15) Shimada Y, Ito S, Mizutani K, et al. Bacterial loads of Ureaplasma urealyticum contribute to development of urethritis in men. Int J STD AIDS. 2014; 25: 294-298.
16) Zhou Y, Wu X, Shen B, et al. The Relationship Between Ureaplasma Species and Male Infertility: Pathogenicity, Biology, Diagnosis, and Treatment. Altern Ther Health Med. 2024; 30: 96-102.
17) Beeton ML, Payne MS, Jones L. The Role of Ureaplasma spp. in the Development of Nongonococcal Urethritis and Infertility among Men. Clin Microbiol Rev. 2019; 32: e00137-18.
18) Yoon BH, Romero R, Lim JH, et al. The clinical significance of detecting Ureaplasma urealyticum by the polymerase chain reaction in the amniotic fluid of patients with preterm labor. Am J Obstet Gynecol. 2003; 189: 919-924.
19) Judith Rittenschober-Böhm, Thomas Waldhoer, Stefan M Schulz, et al. Vaginal Ureaplasma parvum serovars and spontaneous preterm birth. Am J Obstet Gynecol. 2019; 220: 594.e1-9.







