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AIの医療情報は正しい?医師が解説する信頼性と利用時の注意点

その他2026年8月28日

AIが示す医療情報は正しい?信頼できる情報の見分け方について医師が解説

AIの医療情報は正しい?医師が解説する信頼性と利用時の注意点

ここ1〜2年で、AIから得た情報をもとに話をされる患者さんが大きく増えました。AIを活用すること自体は、決して悪いことではありません。ただし、AIが示す情報は、どの程度正しいのでしょうか。本稿では、AIが提供する医療情報との向き合い方について、エビデンスの考え方を踏まえて解説します。

*監修:新宿サテライトクリニック院長/早稲田大学招聘研究員 北岡一樹(M.D./Ph.D.)

1. AIとは?

AIとは?

診察をしていると、ここ1年ほどで「AIに聞いたら、〜と言われました」と話される方が本当に増えました。少し前までは「XやSNSで、みんながこう言っています」と話される方が多かったのですが、最近ではAIの情報をもとに相談される方が急増した印象です。AIは今後さらに発展し、こうした情報収集の方法が一般的になっていくと考えられます。SNSの情報よりもAIの回答のほうが正確に見えることもあり、ChatGPTなどが示す内容に信頼を置く方も増えていくでしょう。

AIは、インターネット上にある膨大な情報から、さまざまな内容を抽出して提示します。医療情報もインターネット上に数多く存在するため、一見すると、AIが導き出した医療情報も正しいように思えます。

しかし、その情報はどの程度正しいのでしょうか。この点を考えるためには、まず「医療情報とは何か」を改めて整理する必要があります。

2. 医療情報とは?

医療情報とは?

かつて、医療情報を得るためには、論文や教科書、専門書などを読む必要がありました。

インターネットの普及に伴い、現在ではオンラインで公開されている教科書や論文、ガイドラインのほか、個人が発信するブログやコラムなど、さまざまな医療情報を容易に得られるようになりました。このコラムも、その一つです。一方で、情報量が増えたことにより、信頼性の高い情報と低い情報が混在するようにもなりました。

では、情報が正しいかどうかを、どのように見分ければよいのでしょうか。

3. エビデンスとは?

エビデンスとは?

そこで重要になるのが、「エビデンス」という考え方です。これは医療情報に限ったものではありません。情報の信頼性を考える際には、その情報にどのような根拠があるのかを意識する必要があります。簡単に言えば、エビデンスとは「その情報を裏づける根拠」のことです。

エビデンスには、さまざまなレベルがあります。医療情報のうち、一定の信頼性を持つものとして挙げられるのが、論文を根拠とする情報です。ただし、同じ事象を扱った論文であっても、研究によって正反対の結果が示されることがあります。その場合、どちらを信頼すればよいのでしょうか。

4. メタアナリシスについて

メタアナリシスとは

そのような場合に役立つのが、メタアナリシスです。メタアナリシスとは、同じテーマを扱った複数の研究結果を集め、それぞれを適切に評価・統合することで、全体としてどのような結論が導かれるかを検討する解析方法です。たとえば、ある事象について、論文ごとにAまたはBという異なる結果が示されている場合、それらを総合的に分析し、「全体としてはAである可能性が高い」といった結論を導きます。

医療情報では、複数の論文をメタアナリシスによって統合した結果は、信頼性の高いエビデンスの一つとされています。ただし、メタアナリシスの結果は、どれも同じになるのでしょうか。

5. メタアナリシスによって結果が異なる理由

メタアナリシスであっても、結果に違いが生じることがあります。対象とする論文、その数、解析方法などが異なれば、同じ事象を扱っていても結論に差が生じる可能性があるためです。

そのため、メタアナリシスを根拠とする医療情報であっても、内容が一致しないことがあります。

メタアナリシスをもとに作成される代表的な医療情報として、まずガイドラインが挙げられます。ただし、ガイドラインは専門家による合議を経て作成されるため、改訂には時間がかかり、更新が数年に一度となることもあります。

そこで活用されているのが、UpToDateやDynaMedといった臨床情報サービスです。これらは情報の迅速な更新を重視し、各分野の世界的な専門家が、メタアナリシスなどのエビデンスをもとに内容を継続的に更新しています。専門家による編集や更新にコストがかかるため、閲覧には原則として料金が必要です。

6. AIが示す医療情報は正しいのか?

AIが示す医療情報は正しい?

ここで、最初の問いに戻ります。

AIは、インターネット上にある医療情報をもとに回答を生成します。しかし、インターネット上の医療情報は玉石混交であり、エビデンスレベルの低いものから高いものまで混在しています。信頼性の高いメタアナリシスなどを根拠として回答してくれればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。

また、メタアナリシスをもとにした医療情報には、有料で提供されているものが少なくありません。ガイドラインもすべてが無料で公開されているわけではなく、UpToDateやDynaMedも有料のサービスです。

AIがこうした有料の情報源にアクセスできない場合、メタアナリシスをもとにした医療情報を十分に参照できるとは限りません。そのため、現時点では、AIが示す医療情報を無条件に信頼できるとは言えません。

正確性を重視するのであれば、AIの回答だけに頼るよりも、メタアナリシスをもとにした情報を直接確認するほうが確実です。ただし、UpToDateやDynaMedは有料であり、医学的な知識や経験がなければ、内容を正しく読み解くことが難しい場合もあります。

一方で、今後、AIが有料の情報源にも適切にアクセスし、メタアナリシスをもとにした情報を優先して参照できるようになれば、回答の信頼性はさらに高まっていくと考えられます。

7. 具体例:ウレアプラズマに関する回答

最後に、具体例を挙げます。性感染症の分野で特に誤解が多い、ウレアプラズマに関する例です。

ChatGPTに、ウレアプラズマと性感染症との関係について質問しました(2026年6月10日アクセス)。

ChatGPTによるウレアプラズマと性感染症に関する回答のスクリーンショット
ChatGPTへの質問と回答(2026年6月10日アクセス)

以前と比べると、回答の精度は上がっています。ウレアプラズマと性感染症との関係は明確に証明されておらず、その点を反映してか、回答には「必ずしも感染=病気ではない」と記載されています。

一方で、「子宮頸管炎が起こることがある」とも記載されています。しかし、メタアナリシスなどのエビデンスをもとにした医療情報であるUpToDateでは、「子宮頸管炎とは関連がない」と明示されています(UpToDate、2026年6月10日アクセス)。

UpToDateにおけるMycoplasma hominisおよびUreaplasma感染症の記載スクリーンショット
UpToDate「Mycoplasma hominis and Ureaplasma infections」より(2026年6月10日アクセス)

以前と比べてChatGPTの回答の信頼性は高まっていますが、メタアナリシスなどのエビデンスに照らすと、必ずしも正確とは言えない内容も含まれています。AIが示す医療情報を利用する際には、引き続き注意が必要です。

8. まとめ

・AIは膨大な情報から回答を生成するが、情報の信頼性(エビデンスレベル)は一様ではない

・医療情報の信頼性を考えるうえで重要なのが「エビデンス」という考え方

・複数の研究結果を統合するメタアナリシスは、信頼性の高いエビデンスの一つとされる

・メタアナリシスをもとにしたUpToDateやDynaMedなどは有料サービスであることが多い

・AIが有料の情報源に十分アクセスできない場合、示す医療情報を無条件に信頼することはできない

・ウレアプラズマの例のように、AIの回答とエビデンスに基づく情報とで内容が異なる場合がある

北岡一樹 医師

監修者 医師監修

新宿サテライトクリニック院長

早稲田大学招聘研究員 北岡一樹(M.D./Ph.D.)

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