コラム

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ピルの基礎知識と、予防会での安全な処方体制について

その他2025年8月15日

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ピル(経口避妊薬)は、避妊を目的として広く用いられているお薬です。しかし、最近では「避妊」だけにとどまらず、月経痛の軽減や月経周期の安定、月経前症候群(PMS)の緩和、ニキビ改善などの副効用もあることから女性の健康管理の一環としてピルを活用する方も増えています。

■ 予防会で取り扱っているピルの種類

低用量ピル

1相性: マーベロン/ファボワール

3相性: アンジュ/トリキュラー/ラベルフィーユ

中用量ピル: プラノバール

ミニピル(黄体ホルモン単剤): セラゼッタ/スリンダ

ファボワールの写真
ファボワール
トリキュラーの写真
トリキュラー
ラベルフィーユの写真
ラベルフィーユ
プラノバールの写真
プラノバール

それぞれのピルには異なる特徴があり、ライフスタイル・体質・目的に合わせて医師がご提案いたします。

予防会のピル価格表
クリニックにより取り扱いのない場合もございます。ご了承ください。

■ 低用量ピルとは?

低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)は、エストロゲンとプロゲスチンの2つの女性ホルモンを少量ずつ含んだ経口避妊薬です。

【主な作用とメリット】

●排卵を抑えることで高い避妊効果(約99.7%)を発揮

●月経痛・PMSの軽減、月経周期の安定

●月経量が少なくなることによる貧血の改善

●ニキビ・肌荒れの改善

●子宮内膜症や卵巣がん・子宮体がんなど一部の婦人科疾患の予防効果

これらの効果により、「避妊以外の効能効果目的」で服用される方も増加傾向にあります。

1相性と3相性ピルはそれぞれ特長が異なりますので医師と相談下さい。

■ 中用量ピル(プラノバール)について

プラノバールは、1979年日本で製造され、日本国内でのみ販売されている歴史のある中用量ピルです。機能性不正出血や月経周期異常(稀発月経、頻発月経)などに保険適用があります。

また、月経移動や緊急避妊(アフターピル)が目的の場合は自費診療で処方されます。旅行や受験、大切なイベントに合わせて月経をコントロールしたい時などによく使用されます。

旅行に合わせて(飛行機アイコン)
旅行に合わせて
受験・試験に合わせて(鉛筆アイコン)
受験・試験に合わせて
大切なイベントに合わせて(カレンダーアイコン)
大切なイベントに合わせて

なお、後述するように中用量ピルは血栓症のリスクが低用量ピルよりやや高いため、経口避妊薬としては承認されていませんので医師の立場からはおすすめしません。

■ ミニピル(黄体ホルモン単剤:セラゼッタ・スリンダ)について

最近注目されているのが、いわゆるミニピルと呼ばれる、黄体ホルモン(プロゲスチン)単独製剤のピル(progestin-Only Pill: POP)です。エストロゲンを含まないため副作用が少なく、特に血栓症リスクが低いというメリットがあり、低用量ピルの服用ができない方も服用可能です。

セラゼッタのパッケージ写真
セラゼッタ
スリンダのパッケージ写真
スリンダ

▶ セラゼッタ(デソゲストレル:第3世代黄体ホルモン)

海外では承認薬ですが日本では未承認です。

適応者:授乳中、喫煙者、肥満、高血圧、前兆のある片頭痛等で低用量ピルの服用ができない方や40歳以上の方に用いられます。

服用:月経初日から休薬期間なく連続内服します。毎日決まった時間に内服します。飲み忘れで12時間以上ずれると避妊効果が低下します。

副作用:不正出血、乳房不快感、頭痛、気分不良、嘔気、嘔吐などがあります。


▶ スリンダ(ドロスピレノン:第4世代黄体ホルモン)

世界62か国・地域で承認されており、2025年5月に日本でも承認されたミニピルです。

適応者:セラゼッタ同様に低用量ピルが服用できない方にも用いられます。

服用:24日間実薬服用に続いて4日間偽薬を服用するスケジュールです。スリンダの半減期は平均30時間と長いため1日の飲み忘れであれば避妊効果は低下しないとされています。

副作用:セラゼッタと比べて頻度はやや異なるものの概ね同様の副作用が報告されています。

■ミニピル服用中の不正出血について

ミニピルはエストロゲンを含まないことから、子宮内膜が安定しにくく、不正出血が起こりやすいとされています。出血量や頻度には個人差がありますが、特に服用開始から数ヶ月間は出血が続く場合もあります。セラゼッタは連続内服のため内服初期の3~6ヶ月までに40~60%の方に不正出血(不意な出血)が見られます。その後の長期使用で不正出血の頻度は減少する傾向が見られ、20~30%の方は無月経となります。スリンダは4日間の偽薬内服中に少量の消退出血(月経様出血)が30~50%に見られますが、長期使用でその頻度は減少します。一方、実薬内服中の不正出血(中間期の不意な出血)も内服初期は40~50%に見られ、長期内服でも一定の割合(30~35%)で見られることをご理解ください。

不正出血が少量であれば内服を継続いただき、出血が長期化あるいは多い場合には医師に相談下さい。

このように、ミニピルは従来のピルと比べて「使いやすさ」や「安全性」の面で多くの利点がありますが、不正出血と服用時間の厳守という2つのポイントに注意しながら使用する必要があります。

■ ピルのリスク「血栓症」について

ピルには多くのメリットがある一方で、様々なデメリット(副作用)があります。特に血栓症(血液が固まりやすくなることで起こる疾患)には注意が必要です。血栓症の頻度は一般に低用量ピルでは10,000人あたり3~9人とされています。一方、中用量ピルはエストロゲン含有量が低用量ピルに比較してやや多いため(1.67倍)、血栓症の頻度は1,000人あたり0.92~2.2人(10,000人あたりにすると9.2~22人)とやや高い頻度が報告されています。

低用量ピルの内服が可能か否かについては「OC・LEPガイドライン」では年齢、肥満、喫煙や高血圧、糖尿病などの疾患の有無により慎重に判断するように推奨されています。

一方、ミニピルはこの血栓リスクが低い(ほとんどない)とされており、より多くの方が安全に服用できる選択肢と思われます。

ピル処方時は下記のACHESと言われる血栓症症状がないかどうか問診や診察で確認します。

A: abdominal pain (激しい腹痛)

C: chest pain (激しい胸痛、息苦しい)

H: headache (激しい頭痛)

E: eye/speech problem (見えにくい、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)

S: severe leg pain (ふくらはぎの痛み、むくみ、押すと痛い、赤くなっている)

■ 血栓症を予防するために

長時間の移動やデスクワークなどで同じ姿勢を続ける場合は、弾性ストッキング(着圧ソックス)を用いたり、足首運動やストレッチを行いましょう。喫煙を避けましょう。適度な水分補給を心がけ、脱水に注意しましょう。

着圧ソックス(弾性ストッキング)
着圧ソックス
足首運動のイメージ
足首運動
禁煙のイメージ
禁煙
水分補給のイメージ
水分補給

■ 年に1回の「ピル検査」で安全性を確認

予防会では、ピルを安全に継続していただくために、問診・診察とともに「年に1回のピル検査(血液検査)」を実施しています。この検査では、全身の健康状態だけでなく、血栓の兆候を確認できる「Dダイマー」の測定も実施しています。血栓症のリスクを未然に察知し、安心して服用を続けられるようサポートします。

安心・安全にピルを使用するために

ピルは、正しく使えば非常に便利で生活の質を高めてくれるお薬ですが、体調や体質に合った選択と、継続的な健康チェックが不可欠です。

予防会では、ミニピルを含むさまざまなピルに対応し、丁寧なカウンセリングと検査体制を整えております。「自分に合ったピルを見つけたい」「一度話を聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修者 名古屋クリニック 院長

名古屋クリニックではSTD(STI)、体調不良、生活習慣病、婦人科疾患などで気になることは何でも無料相談を実施しています(月~木曜日)。

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