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HPV検査とは?子宮頸がんとの関係をわかりやすく解説
病気について2026年1月16日
「HPV検査とは何を調べる検査?子宮頸がんとの関係をわかりやすく解説」

知っておきたいHPV(ヒトパピローマウイルス)とHPV検査および子宮頸がんの関係
「子宮頸がん検診は受けたことがあるけれど、HPV検査はよく分からない」
「人間ドックのオプションにHPV検査があるけれど受けたほうがいいのかな」
「症状もないし、自分には関係ない気がする」
そう感じている方は、決して少なくありません。
しかし実際には、HPVは性交経験がある人であれば、誰でも感染する可能性があるウイルスです。
しかも、感染していてもほとんどの場合、症状はありません。
「症状がない=問題ない」 そう思って何年も過ごしている間に、
気づかないうちに将来のリスクが積み重なっていることもあります。
HPVは、子宮頸がんのほぼすべての原因とされているウイルスです。
この記事では、HPVと新たな子宮頸がん検診としてのHPV検査について解説します。
HPVとは?

HPVとは、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入して細胞に感染するウイルスの総称です。
100種類以上の型があり、そのうち約40種類が性器周辺に感染します。
HPVはとても身近なウイルスで、女性の約80%は一生のうちに一度は感染します。
HPVは感染後に約90%は免疫力で自然に排除されますが(一過性感染) 、約10%は持続感染となります。
さらに持続感染のうちの約10%(全体の約1%)は感染した細胞の遺伝子にHPV遺伝子の組み込みが起こり、前がん状態(異形成)から子宮頸がんに進展します。
子宮頸がんは20代から増加し、30代後半から40代にピークがあります。日本では1年間に約1.1万人が罹患し、約3千人の方が亡くなっています。
HPVは子宮頸がん以外にも腟がん、外陰がん、陰茎がん、肛門がん、中咽頭がんなどのリスクに関連します。
HPVは大きく分けて、次の2種類があります。

低リスク型HPV
- 6型や11型の他に9種類ほどあるとされ、感染すると男女ともに尖圭コンジローマという良性のイボを形成することがあります。
- ただし、感染したからといって必ずしも尖圭コンジローマになるわけではなく、大多数は自然に消失します。
高リスク型HPV
- 高リスク型は13種類(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型)
とされています。
- その中でも8種類(16、18、31、33、35、45、52、58型)が陽性であった場合、自然
消失しにくく持続感染となり、前述したように約1%が前がん状態(異形成)さらには子宮頸がんに進展しやすいとされています。
- 日本女性の子宮頸がんで認められるHPV型は16型が60%、18型が10~20%とされ、この2種類で70~80%を占めます。その他、31、33、35、45、52、58型の感染が20~30%とされています。
HPV感染の予防と対策は?

- HPV予防ワクチン接種が最も効果的な予防策です。
- コンドームの使用:HPV感染を完全に予防できるわけではありませんが、感染リスクを下げる効果はあります。他の性感染症(クラミジア・淋菌など)予防にも重要です。
- 定期的な検診:女性の場合は子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診・HPV検査)が重要です。
- 男性に行うHPV検査は一般的ではないため、性器や肛門周辺に腫瘤(いぼ)などがあれば泌尿器科・皮膚科へ相談下さい。
- 免疫力を維持する生活:質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理などを生活習慣とすることが大切です。特に、喫煙はHPVの持続感染リスクを上昇させますので禁煙をお勧めします。
子宮頸がん検診の方法は?

- 子宮頸がん検診では子宮頸部細胞診やHPV検査が行われますが、実際の運用方法は国によって様々です。
- 細胞診単独法を採用している主な国は韓国で、20歳以上、2年に1回とされています。
- HPV検査単独法を採用している主な国はイギリス、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドなどです。例えばイギリスでは25~49歳は3年に1回、50~64歳は5年に1回とされています。
- 細胞診とHPV検査を組み合わせた方法を採用している主な国は、フランス、ドイツ、アメリカなどです。例えばドイツでは20~34歳は細胞診単独法を毎年、35歳以上は細胞診・HPV検査併用法を3年に1回とされています。
- 日本では2024年4月よりHPV検査単独法が公的検診(対策型検診)の選択肢に追加され、以下の2方法が推奨されています。
子宮頸部細胞診による検診:20歳以上の女性に対して2年に1回
HPV検査単独法による検診:30~60歳の女性に対して5年に1回

- HPV検査単独法の実施には自治体の適切な精度管理と陽性者のフォロー体制の整備が必要で、準備が整った自治体から順次導入されています。
- 検査結果の取り扱いは概ね以下のようになります(厚労省の子宮頸がん検診マニュアル)。
HPV検査陰性者は次回5年後にHPV検査を行う。
HPV検査陽性者はHPV検査残余検体で細胞診が実施される(トリアージ検査)。
細胞診で異常が無ければ1年後にHPV検査(追跡検査)を行う。
細胞診で異常があれば医療機関を受診し、コルポスコピー・組織診を行う(確定精検)。
- 公的検診で行う場合の費用は自治体からの助成があります。
- 人間ドックなどでの任意型検診では以前からオプションとしてHPV検査を提供している検診施設もあります。この際の費用は原則自己負担です。
HPV検査単独法のメリット・デメリットは?
- メリット: HPV陰性者は検診間隔が5年に延び、負担軽減が期待できます。
- デメリット:一過性の感染者も陽性となり、不要な精密検査や治療につながるリスクがあります(過剰診断・過剰治療)。また、自治体・検診機関が行う受診者の管理・結果通知・追跡のシステムが良好に機能しないリスクもあります(陽性者が精密検査を受けない➢受診者の追跡不能・ドロップアウト)。このドロップアウトを最小化する仕組みが大切になります。
自己採取によるHPV検査は?
- 自己採取によるHPV検査の正確性は、医師採取によるHPV検査と比較してほぼ同等かやや低い(約90~95%の一致率)とされています。
- 海外のデータでは自己採取HPV検査を用いることにより検診未受診者の参加率が向上するという報告があり、世界保健機関(WHO)では「検診未受診者への代替手段」として推奨されています。
- アメリカがん協会による子宮頸がん検診ガイドライン2025年版では、医師採取によるHPV検査が望ましいが、自己採取も「許容可能」としています。自己採取で陰性の場合は3年後の再検査を推奨しています(医師採取の場合は5年後)。
- 日本では子宮頸がん検診の受診率は43.6%と他の先進諸国と比較して低いことが課題とされています。特に若い方での受診率が低迷しています。
- 日本でも自己採取は受診者の身体的、心理的、時間的負担を減らすことにより未受診者の検診参加を促しやすいと期待されており、有効性評価や実地データの蓄積が進められています。
まとめ:新しい子宮頸がん検診-HPV検査は将来の安心のための検査
子宮頸がん検診には子宮頸部細胞診とHPV検査がありますが、それぞれの違いは次の通りです。
子宮頸部細胞診:子宮頸部の細胞に異常がないかを調べる検査
HPV検査:子宮頸がんの原因となる高リスク型HPV感染の有無を調べる検査
子宮頸部細胞診は「細胞の変化」を見る検査、HPV検査は「原因となるリスク」を見る検査と考えられます。
将来、子宮頸がんになるリスクがあるかどうかを早めに知ること
それがHPV検査の目的です。
HPV検査で陰性と判定されれば、5年以内に前がん病変(高度病変)や子宮頸がんになる可能性は極めて低いと考えられるため次の検査は5年後になり負担が減ります。
HPV検査で陽性と判定されてもすぐに治療になるわけではなく、必要に応じた追加検査(精密検査)や定期的な経過観察が行われます。
重要なのは、「知らずに放置する状態」を防ぐことです。
予防会での子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診とHPV検査)について
- 予防会では、予約不要ですぐに検査が可能です。
子宮頸部細胞診:3,650円
HPV(高リスク型)検査:5,250円
検査結果は概ね2週間後に出ますので医師より詳しい説明をお聞きください。
最後に
HPV感染は無症状なことが多いため、早期発見が重要です。
将来の安心のためにより身近な検査として一度検査を受けてみませんか。
子宮頸がん検診の方法として従来法の子宮頸部細胞診のみならず新しい検診手段であるHPV検査もご検討ください。




